ヴィトンマルチカラー汚れ
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null「ええ、わかっちゃダメよ。  ただ一つだけ知っておいてほしいのは、決してその線をいたずらに切ってはいけないということ。  ———君の目は、『モノ』の命を軽くしすぎてしまうから」 「———うん。先生が言うならしない。それに、なんだか胸がいたいんだ。……ごめんね先生。もう、二度とあんなことはしないから」 「……よかった。志貴、いまの気持ちを絶対に忘れないで。そうしていれば、君はかならず幸せになれるんだから」  そうして、先生は僕からはなれた。 「でも先生。このラクガキが見えていると不安なんだ。  だって、この線を引けばそこが切れちゃうんでしょう? なら、僕のまわりはいつバラバラになってもおかしくないじゃないか」 「そうね。その問題は私がなんとかするわ。——どうやらそれが、私がここにきた理由のようだし」  はあ、とため息をついてから、先生はニコリと笑った。 「志貴、明日は君にとっておきのプレゼントをあげる。私が君を以前の、普通の生活に戻してあげるわ」